熊の住める自然豊かな森を!(3)
またまた熊の話ですみません。今回で熊の話は終わりにしま~す。前回は、かっての悪ガキだった中学生の子供たちが、どんないきさつで「いかに熊を守るか?」という目的に向かって進んでいったのか?という話だった。
今回は、じゃぁ、どんな風に目的に向かって進んで行ったのか?という話。
熊を守るために猛勉強を始めた子供たちと先生は、その資料をもとに、いろんなところに電話をかけたり、手紙を書いたり、実際に訪問を繰り返したそうだ。でも、ほとんどの所で全く相手にされない。大まかな内容は? というと、次の通りらしい。「熊と人間とどっちが大事や!」それから、「こんなしょうもない事言ってきたのん、あんたらだけや!」
やる事、なす事、空振りの連続。こんな事もあったそうだ。 先生と子供たちは、新幹線に乗って、環境庁にまで押しかけたんだって。すると、2人の職員が彼らに会ってくれて、30分もじーっと話を聞いてくれた。こんな事、今までにはなかったらしいよ。だから先生は内心、「さすが環境庁は違う!ここがなんとかしてくれる!」って思ったそうだ。 で、その返事が、「たしかに皆さんの言うとおりです。でも、この事に対して動いてくれるところは、日本中どこをを探してもありません。皆さん、頑張ってください。」だってさ。 ガックリ来た先生は思ったそうだ。「そりゃそうや。この人達、本当に正直者や・・・・・。」それからある子がこう言ったんだって。「大人達は子供達の事なんか考えてへん。だから、資源は使い切ろうとするし、自然も残そうとせんのや。」
でもこんな事でへこたれはしなかったみたい。当時、東大の林学課名誉教授のドロカメさんこと、高橋信清先生に手紙を出したら、こんな返事が返ってきたそうだ。
「あなた達の言うとおり!日本の森は熊がいないと森にならない!私も、あなた達と一緒にやりたいのはやまやまだけれど、何せ高齢で身体が思うように動かない。私は以前、昭和天皇に授業をした事があるが、その時昭和天皇から、「日本の奥山に、こんなにスギやヒノキばかり植えてしまっていいのか?」という質問を受けた事がある。何かの時に、この話を使って。」という、内容だった。ドロカメさんからは亡くなるまでの間、毎年、励ましの手紙が届いたんだって。
そうこうしているうちに、次から次へ駆除されて、もうほとんど残りがいなくなってしまった熊を救うために、最後の手段で、カイハラ兵庫県知事に直訴したんだって。そうしたらこの知事が、今まであった人の中では一番生態学に関心があった。それで、子供たちの話をじっくり聞いてくれた知事は、「よく勉強してるね。」と言ってほめてくれて、「何とかそういうように動きたいけど、農業被害も出ている事だし、なかなか難しい問題だなぁ・・。」と、困った表情を浮かべていたそうだ。
これ以降も知事にはいろいろとお世話になり、現在、(日本熊森教会)が存続しているのは知事のお蔭なんだって。
そうこうしているうちに、兵庫県で植樹祭が開かれることになったのだが、それは今ままではえていた自然の木を切って、スギの木を植えるお祭り。それで、彼らは思い切って知事に手紙を書いたそうだ。「スギの木が自然の森を破壊しています。どうか、森の自然を守るために、植樹祭では広葉樹を植えてください。」という内容。すると3日後の新聞には、「兵庫県植樹祭計画白紙撤回。針葉樹植樹取りやめ、26種の広葉樹に」というのが載っていたそうだ。
この新聞にすごく感動した子供たちは、「僕らも植樹祭に出たい!」と言いだして、また知事に手紙を書いたら、知事から招待券が5枚送られてきた。しかも、この植樹祭には天皇、皇后両陛下も出られるそうだ。
そこで、生徒がまたまた凄い事を言い出した。先生に、「このチャンス逃したらアカンな。」で、先生が「どういう事?」って聞いた。すると、「決まってるやんか。」それは天皇陛下に手紙を書く!という事だったんだって。先生は、「もうあの頃は完全に子供たちに引っ張られてました。」って言ってた。
その手紙の中に、前出のドロカメさんからもらった言葉「昭和天皇がスギやヒノキばかり植えてていいのか?」を入れて、自分たちの願いを書いたんだ。強い願いというのは通じるものなのか?何と天皇陛下がこの手紙を読んでくれたんだって。
すると、兵庫県に野生月の輪熊狩猟禁止令というのが出た。でも、害獣駆除というのからすると無意味ではあるが、とにかく国がここまで動いてくれた事は大きな前進という事になる。
先生は言ってた。「そりゃ、あんな大きいのが人里に出てきて、フラフラしてたら駆除されても仕方ない事かもしれません。でも、熊達にしてみれば、完全に森は荒らされて、住む場所がないのです。自然豊な森を返すのは大人のつとめです。」だって。
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