甦れ!日本農業3(あい鴨革命)
まず最初にお詫びをしなければいけないんだけど、前、甦れ!日本農業2という話をした時に、「田圃はいろんな生き物の宝庫で、稲刈りした後、これを都会の子供たちに開放すればいい!」って事を言ったけど、それは古き良き時代の田圃の話で、今の化学肥料に汚染された田圃では、オタマジャクシとカエル、くらいしかいないんだって。本当にすみませんでした。
そこで、古き良き時代の田圃に戻すための決定打として、今回のパート3、あい鴨革命という事になるんだ。これもラジオで聞いた話なんだけれど、この話し手の古野さんは、日本あい鴨の会の代表世話人で、
現役バリバリの農民なんだけど、あい鴨農法の事を論文に書いて、博士号も取ってるんだって。
そもそも古野さんのあい鴨農法との馴れ初めは?というと、雑草を刈る時に機械でやってたけど、雑草を全部刈ろうとすると、稲まで狩っちゃう。それで、稲を刈らないようにすると、今度は雑草が刈れない、というジレンマに陥ってしまっていたからだそうだ。そこで、あるメモにあい鴨農法の事が書いてあって、「ちょっと試してみるか?」という事になって、大阪の方からあい鴨を仕入れたのが、始まりなんだって。
それでそのメモどおりに、生後2週間くらいの、あい鴨を水田に放したら、これがとても上手くいって、雑草が見事なまでに減っていったそうだ。この時の喜びと言ったら、大変なものだったらしいよ。それで、田圃を見るのが楽しくしょうがなく、毎日早朝の4時には田んぼに行ったらしい。
あい鴨を田圃に放ってから一か月位したある日、どういう訳か?3匹の野犬が古野さんの前を走り去っていった。「どうしたのかなぁ?」と思いながら田んぼに入ったら、あい鴨が3羽とも殺されていたんだって。
その時、古野さんは深いショックを感じながらも、「これから、野犬との戦いが始まるんだ。」って、思ったんだって。
まず、田んぼの周りを網で囲んだ。でも、これは簡単に破られてしまった。それで、今度は網の高さを1メートル50位にしたが、それも破られてしまって、なかのあい鴨は全部野犬達に食べられてしまった。
それで、古野さんはあい鴨を購入した業者にどうしたらいいのか?相談したが、「野犬のいるところでは止めた方がいいんじゃないですか?」って、つれない返事。いろんな人に聞いて回ったけど、野犬との戦いを経験した人がいなかったんだって。
今度は、岩海苔用の丈夫な網をL字型にして前に垂らしたんだって。こうすれば網に野犬が引っ掛かるから、大丈夫だと思ったらしいが、集団行動をする野犬達は、網に引っ掛かる班と、なかに入る班に分かれて、その網を突破していったようだ。憎らしいけど賢いんだ!そうこうしているうちに奥さんから、「もう、アナタ止めたら?」って言われたそうだ。その時は本気で、「もう止めよう。」って、思ったそうだ。すると、その時まだ幼稚園児の息子さんが、「止めるのちゃーらん。」とかなんとか九州弁で言ったらしいよ。どうでもいい事だけど、この子、その後お父さんが勧めもしないのに、京都大学の農学部に進んで、今お父さんと一緒に農業の仕事をしているんだって。賢い人は子供の頃から違うもんだねぇ。(すいません。ちょっと余分な話でした。) それで、幼稚園児にこんな事言われちゃったお父さんとしては当然、「そんなぁ、止めるわけなかね。」って言い返しちゃったんだって。でも、内心、「もう犬には勝てない。」と思っていただけ、「えらい事言ちゃったもんだ。」って辛かったらしいよ。
そうこうしている内に、山の中で農業をしている奥さんの実家からとてもいい知らせが入るんだ。それは、実家の畑が猪にさんざんやられて、それに対して、電流を流す網で囲んだら猪は来なくなったという知らせ。この時、古野さんはとっさに、「よし、これでやっと野犬に勝てる!」って、思ったそうだ。
それからもいろんな問題はあったにせよ、何とかこの野犬との仁義なき戦いは一応納まったらしい。ここで面白いのが、電流の網で効果があったのはいいけど、その網にチクワなんかを縛っておいたんだって。
この電流風味のチクワの味が野犬には忘れられなかったんじゃないかな?って、古野さんは言ってた。おそらく、野犬同士でこのチクワの噂が広まったんじゃないかな?「あそこの鴨は止めといた方がいいと思うだワン。」なんちゃって。野犬ってのはとても学習能力が高いみたいだけど、上手くその逆をついちゃったんだ。
あい鴨に話は戻るけど、あい鴨ってすっごく食欲が旺盛で、かなり大きな田圃でも、3羽位放しておけばほとんど雑草はなくなっちゃうんだって。それどころか、今度は雑草が足らなくなって、あい鴨専用のとても繁殖力の高い水草を、用意しなければならくなるんだって。
という事になると、当然、糞尿の量もかなりのもの。ところがこれこそ正に、田圃を生き物の宝庫に生まれ変わらせ、人の健康にとっても安全でかつ、おいし~いおコメを作る最高の肥料なんだ!
古野さんは言ってた。田圃にはもともとフナや、ナマズやドジョウがいっぱいいて、それらが食卓にのぼるのが、子供のころの楽しみだったんだって。食卓という事になると、おコメの収穫のころには、まるまる太ったあい鴨の肉も食卓にのぼる。よく、都会の人なんかが、「あい鴨が可哀そう…。」って、言うけどそれに対して古野さんはこう言ってた。「都会の人なんかはハムを食べる時に、これが動物の肉って事をちゃんと意識してますか? 私たちは、あい鴨の肉を食べる時に、あい鴨に感謝して、その命を頂いているんです。」って。
古野さんの夢は、日本中の自然豊かな田圃に、あい鴨が浮かんでる姿なんだってさ。
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