
なんでも、体験した者にしか分らないっていうけど、ペットを失った悲しみなんてまさにそうみたい。今回は、ペットを失った痛手からペットロス(ペットを失ったショックによるうつ状態)になり、自分なりに努力して立ち直ったあるおばさんが、さらに一歩ふみこんで、現在ペットロス状態にある人達をサポートしている。っていう、深夜ラジオで聞いたおはなし。
そもそもこのおばさんがペットロス状態に陥ったのには、ミステリーめいた事件からきているようだ。 彼女は10年前にご主人を亡くし、その翌年に母親を亡くしたのだが、当時2歳のオスのゴールデンレトリバーであるレイヤが、いつも彼女のそばで慰めていてくれたそうだ。特に彼女が疲れて外出から帰った時など、はたは笑うかもしれないけれど、いつも優しい笑顔で迎えてくれたらしい。
そうこうしているうちに、彼女の娘さんが結婚することになったが、お父さんが亡くなった事もあって、海外でひっそり式を挙げる事になった。それで、5日間ほど家を空ける事になり、レイヤをペットショップに預けた。 式を終えて、ペットショップにレイヤを迎えに行ったら、「ワンちゃんは亡くなりました。」って、いきなり言われたんだって。
「じゃあレイヤの死体は?」って聞いたら、
「もう火葬にしたからありません。」という返事。自分としては、夫と母を亡くし、娘も嫁に出し、ひとりぽっちになってしまって、さぁこれからはあの子と一緒に生きて行こう!と思っていた矢先の出来事だったので、これから先一体どうやって生きて行ったらいいのか? さっぱり見当がつかなくなってしまったらしい。
どうしてこんなに悲しい出来事ばかり続くのか? 自分が、もしレイヤをペットショップなんかにあずけなかったら、こんな可哀そうなことにはならなかった。レイヤに対する申し訳ない気持ちと、一人ぽっちになってしまった淋しさが重なって、生きていく気力がほとんどなくなってしまった。特に、人と会うのが怖くなったそうだ。
何故人に会うのが怖くなったのか?というと、落ち込んでいる彼女を見かけた近所の人が、「そんなに落ち込まないで。レイちゃんはきっとどこかで生きてますよ。」って言ったらしい。その人は励ますつもりで言ってくれた事は分るけど、生きているんだったら会いたいって思ってしまったそうだ。
死んでしまったものなら、ある程度日にちが過ぎれば諦めもつくが、ひょっとしたら生きているのかもしれないという思いが目覚めてしまって、ますますつらくなっていく。
よく考えてみると、ペットショップの人の話によると、レイヤは死ぬ前の日まではとても元気で、ご飯もたくさん食べていた。という事なのに、死に立ち会った獣医さんの書類によると、10キロもやせているとの事。そして、そのペットショップの人が、すぐに店をたたんで、いなくなってしまった。どう考えてもおかしい。
街を歩いているゴールデンレトリバーを見ると、レイヤじゃないかな?って思ったらしい。
またある人は、「そんなに落ち込んでいないで、早く新しいワンちゃんを飼いなさいよ。それが、レイちゃんにも供養になるから!」って言われたけど、ひょっとしたら生きているかもしれないのに、「なにが供養だ!」って、アタマにきたらしい。
それから、ペットを飼ったことのない友達からは、「たかが犬じゃないの!」って言われた時には、また落ち込んでしまう。でも、ほとんどの人がこういうタイプなので、誰にも言えずに、長い間一人で苦しんだそうだ。
そうこうしているうちに、たまたま会った人が「それは大変な悲しみですね。あなたこれからどうすればいい?とお思いになりますか?」って言われて、この一言で、ハッと我に返って、救われたらしい。
それで前向きに考える事が出来て、その時に、「レイヤの思い出をなにかに書こう!それが私のレイヤに出来る恩返しだ!」って思ったらしい。
幸いレイヤの写真がいっぱいあったので、それにいろいろ書きこんで、思いでの本にしたそうだ。さらに、ちいさな孫がかわいがっている愛犬を亡くしてしまったので、その孫に死の意味をじっくり教えてあげたら、孫なりにその意味を理解して、今度はお母さんを慰めたらしいよ。それにとても感動したので、それをヒントに童話風の小説を仕上げたんだって。
それで、自分があの一言で立ち直れたのだから、今度は自分が立ち直れないで苦しんでいる人のサポートをしたい!って言う気持ちが芽生えてきて、今ボランティアでそういう活動をしているらしい。
活動といっても、ただ苦しんでいる人の話を電話で聞いてあげるだけなんだって。(でも、こういうのってかなり大きいと思うよ。)
そうこうしているうちに電話の件数も増えてきたけど、自分がとても大きな悲しみを背負った体験があるから、どんなに長い電話でも、平気なんだって。とっても相手の気持ちがよく分るからだってさ。
こんなこともあったらしい。85歳の一人暮らしのおばあちゃんが、ペットを亡くしてしまって、とても重いペットロス状態になってしまい電話がかかってきたらしい。
それによると、「自分はもうペットを飼う事が出来ない。どんなに短くても10年は生きるだろう。そうなると私は95歳。95歳まではとても生きられない。どうすればいいでしょうか?」
それに対して、「鳩でも、スズメでも、よその犬でも、野良ネコでもいいから声をかけてあげて。」って言ったんだって。そうしたら、前よりず~っと元気になったそうだ。
最近のコメント