かつての日産VSトヨタ
もう20年以上も昔の事で、とっくに時効になってるから言っちゃうけど、俺、日産で、ブルーバードっていうクルマを売っていたんだ。
これもかなり古~い話だけど、910ブルーバードって、憶えてる? 当時としてはビックリするようなシャープな直線ラインを基調にしていて、当時の超アイドル沢田研二さんなんかをコマーシャルなんかに起用して、「よぉ!スーパースター」なんて、トロイ事、言ってたもんね。
でも、これが本当によく売れてねぇ。その頃のクルマはなんたって、恰好とイメージだけの世界だったんだろうなぁ。
「SSSターボでそんなに飛ばしちゃ、危ないからダメよ!」な~て事言っちゃったら、当時の若い男の子が、ぽ~っとしてたよ。
他車との競合というと、やっぱりスカイラインが多かったねぇ。なんたって、GTRのイメージが、まだ残っていたからね。
ブルーバードは4気筒で、スカイラインは6気筒でしょ。だから、あっちの方が、その分高いんだけど、あの6気筒のロングノーズの魅力には勝てなかったのかねぇ。商談でいいところまで行って、よく、持ってかれちゃったんだ。その時はよく、「スカイラインのくそったれ!」って、悔しがっていたけど、今になって思うと、それはそれでよかったんだよ。スカイラインが日産のイメージを創って、その勢いで、ブルーバードも売れた、って事だったんだろうなぁ。
そうこうしているうちに、マークⅡがいいのを出してきてね。それに姉妹車のクレスタ。これがじわじわ売れだして、それにつれて、スカイラインも、ブルーバードもじわじわ売れなくなってきたんだ。
そこで、決め手になったのが、カリーナEDっていうクルマ。これがまた恰好よくって、910ブルーバードがデビューした時と似てたんだ。
それに、さらに追い打ちをかけたのが、新しいブルーバードが、ぽっちゃりとした丸みをおびた、シロブタみたいなクルマでねぇ。俺たちは本当にガックリ来たねぇ。そこで、所長がセールスマンを集めて、こんな事を言ったんだ。「アバタも惚れれば、エクボです。」だってさ。 ますますやる気がなくなってきたよ。
この頃から、日産は、坂道からゴロゴロ下りだし、トヨタは日の出のごとく勢いで益々伸び始めたんだ。
どうしようもないほど、日産が落ちてきて、考えたのが、値段の事。とにかく、30万値引きも、珍しくなかったみたい。一方トヨタの方は、ほとんどまけてくれない。これで、ますますいいイメージがトヨタの方に行っちゃった。そうなると中古車市場での値段が上がるから、今度、下取りに出す時に、いい値段で持って行ってくれるから、結局、まけてくれないトヨタ車を買った方が得!という事になっちゃって、益々、日産は落ち込んで行っちゃったわけ。
じゃ~ん! そこで登場したのが、ゴーンさんなのです。あの人って、本当にアタマいいね。 今だったら誰にでもわかるかもしれないけど、販売台数でトヨタに追いつこうとしても、無理に決まってるじゃんね。
そこで考え出したのがユニークなクルマ!これがまた、まけてくれない。そりゃそうだよ。だって、そんなにたくさん作らないんだから。 「ウチのクルマを、気に入った人だけに、乗ってもらえればいいですから。」って、ところかね。
でも、こうされちゃうとかえって欲しくなるのが人情ってものかな? そう言えばこんな声が聞こえてきそうだね。「クルマを知らない人は、トヨタに乗れば。知ってる俺は、日産さ。」
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